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ビジネスにおける「やる気」の高め方 動機付けとは?  徹底解説


 「動機付け」とは、目的や目標などのある要因によって行動を起こし、それを持続させる過程や機能のことをいい、モチベーションと言い換えることもできます。動機付けを活用して、社員がよりモチベーション高く働ける状態をつくりあげることは生産性向上につながり、企業にとっても大きなプラスとなります。


 そこで今回は、動機付けの「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の違い、動機付けにおける重要な理論、ビジネスにおけるモチベーションを維持する方法、自信の付け方、自己効力感など具体的な活用方法などを徹底解説致します。




1.動機付けとは


(1)外発的動機付け 


 外発的動機付けは、行動の要因が「評価」「報酬」「賞罰」などの人為的な刺激によるものであるという考え方です。

 具体例としては「給与アップを目指して仕事を頑張る」「上司から叱責を受けないように業績をあげる」などがあります。


(2)内発的動機付け


 内発的動機付けは、行動要因が内面に湧き起こった興味・関心や意欲によるものであるという考え方です。動機付けの要因は、金銭や食べ物、名誉など、外から与えられる外的報酬に基づかないものを指します。一般的には「充実感」「達成感」「責任感」などが要因になりうるとされ、個人の考え方や性格で要因は異なってきます。

 具体的には「仕事が楽しくて時間を忘れてしまう」「自分で決めた目標を達成したい」などがあります。


(3)動機付けにおける重要な理論


アメリカの心理学者であるエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱し、多くの心理学者から支持されているのが「自己決定理論」です。

 取り組むことを自ら選び、自分の意志でやっているのだという実感を持つことが、内発的なモチベーションを高めるという理論です。何ごとも自己決定しているかどうかでその後のやる気が大きく変わり、「グリット(やり抜く力)」の源泉にもなります。


 一方で、動機付けがされていない場合や外発的動機付けの場合は、自己決定の度合いが高い内発的動機付けよりも、意志が弱くなるといわれています。


 また、自己決定理論では、自発的に行動を続けるために3つの欲求を満たすことが大事だとしています。


 具体的には、

自律性の欲求:自ら行動を選択し、主体的に動きたいという欲求。

有能性の欲求:自分はできる能力を発揮できていると感じられることへの欲求。

関係性の欲求:他人と互いに尊重しあえる関係性をつくりたいという欲求。

 これらの感覚を持てたときに、内発的動機を得やすいといえます。


(4)二要因理論


 二要因理論とは、アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが提唱したもので、「動機付け要因」が仕事に対する満足につながり、「衛生要因」が不満足につながるという理論です。動機付け要因には、成果、達成、評価、責任、成長の機会などが該当し、衛生要因は、主に人間関係、会社の方針、職場環境、労働条件などが該当します。衛生要因を取り除いたからといって、それが動機付けにつながるわけではありません。


 先に述べたとおり、動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があり、人によって要因となるものはさまざまです。一律にモチベーションを向上させようとするのではなく、相手の環境や経歴、考え方などから推測し、動機付けにつながる要因は何なのかを見極めていくことが重要です。


 外発的動機付けの場合、たとえばわかりやすいものが金銭報酬です。「目標を達成したら給与が上がる」「インセンティブをもらえる」などの条件の提示によってモチベーションを高めることができます。

 また、行動経済学における損失回避理論においては、人は何かを「得る」よりも「失わない」ために行動することを選ぶ傾向があるといわれています。


 こうした観点から「目標を達成できなければインセンティブが減る」などの罰則の動機付けも効果につながります。ただしこうした外発的動機付けの効果は一時的なものといわれており、これをきっかけに業務に興味関心を持つなど、内発的動機付けにつなげていく方法が効果的です。


 内発的動機付けにおいても、相手の動機付けにつながる要因を見極めたアプローチが重要です。たとえば「責任感」が動機付け要因となる相手ならば、責任の求められる仕事を任せたり、果たした責任に対して感謝を伝えたり、動機付けの要因に合わせたアプローチをしていきます。


 注意が必要なのが、「アンダーマイニング効果」と呼ばれるものです。内発的動機に基づく行為に対して、報酬などの外発的動機付けが行われることにより、逆にモチベーションが下がってしまう現象のことをいいます。「楽しい」「やりがいを感じる」といった行為そのものを「目的」に取り組んでいた業務なのに、外的報酬を意識した結果、それを得るための「手段」になってしまい、その業務に楽しさを感じられなくなってしまうのです。外発的動機付けを行うことも大切ですが、そのやり方を間違えると、逆にマイナスにもなることを意識しておきましょう。



2.モチベーションを維持する4つの方法


次に、モチベーションを維持させる4つの方法をご紹介します。


(1)企業方針を全社員に浸透させる


 企業方針を浸透させ社員から共感を得られると、経営層と従業員が同じ方向性を向いて事業戦略を捉えられます。その結果社員は新たな事業や与えられた取り組みに対し意欲的に行動でき、モチベーション維持できるのです。

 具体的な方法としては、経営層から企業方針を直接共有する機会の提供や、企業方針を体現できているかを評価する人事制度の設定が挙げられます。また採用時に経営理念や企業文化への共感を基準として設けると、企業方針を浸透させやすい環境が整います。


(2)職場環境を整える


 長時間労働の常態化や嫌がらせが横行するような職場は社員の心身に疲労を蓄積させ、仕事に対するモチベーションは上がりません。反対に、例えば仕事と私生活を両立できる勤務時間は社員にとって十分な休息時間が得られることにつながります。また適切なコミュニケーションが活発な職場は社員の自己肯定感を高めることにつながりやすいでしょう。社員にとって適切な職場環境の整備は仕事への活力を保つことができ、やりがいを感じられやすいためモチベーション維持につながるのです。


(3)キャリアデザインを明確に設計する


 社員自身が望む将来像を実現するために必要なプロセスを明確化することによって、主体的な働きや行動を促すことに期待できます。主体的な働きを通して実現したい姿に近づける過程が可視化できると、内面からやる気が生み出されモチベーションを保ちやすくなります。

 具体的な方法としてはまず社員自身が希望するキャリアを深く理解する機会を設け、企業はそれに必要なプロセスを提案するなどの支援を行うと良いでしょう。


(4)社員と定期的に面談を行う


 部下にとって上司との面談は、課題解決への糸口を得られる場や取り組みの軌道修正ができる機会として活用できます。このような効果的な面談を定期的に実施できると仕事へのやる気を高めることができ、モチベーション維持につながるのです。

 ただし単に定期的に面談を行うだけでは社員にとって意味を感じられず、逆効果となる可能性もあります。そのため面談を実施する際には予め面談におけるゴールを明確にすることや、部下に面談の事前準備をさせると部下にとって意味を感じられやすく、効率の良い面談として有効です。


3.自信とは? 


(1)「成果期待」と「効力感期待」


 理解できることと実行できる事の違いについて、心理学者のアルバート・バンデューラーは、人が行動を起こし成果を得るうえでは2つの期待が存在すると考えました。

一つは、「その行動をとれば、そのような成果が得られるだろう」という期待です。

 身近な例では、毎日1時間ジョギングすれば体重を落とすことができるだろうといった期待です。これを「成果期待」といいます。

 但し、誰もがそのようにできるかどうかは別問題です。毎日1時間のジョギングの効果は期待できても、それをやり通せる自信があるかどうかは別ものです。その行動をやり遂げる自信があるかどうか、これを「効力感期待」といいます。


 もう少し詳しく言えば、その状況に対処する中で、成果に結びつくと期待できる一連の行動をとれるかどうかの感覚です。これを「自己効力感」と名付けました。

 物事を達成できるという将来の自分への期待感、すなわち自信が高い人は自己効力感が高い人です。自己効力感が高い場合、すなわち実際にやり遂げる自信がある場合には、人は努力し高い目標にもチャレンジしようとします。一方、自己効力感が低い場合には、行動への自信が持てずにチャレンジ意欲は弱まります。


(2)自信をつける方法


 スタンフォード大学の心理学者アルバート・バンデューラの自己効力感、『自分にはできる!』という考え方の身につけ方を中心に自信を高める方法を紹介していきます。


① 成功体験


 成功体験とは、自分自身が目標や挑戦したことに対して達成したり、成功した経験を指しています。実際に成功を体験することで「やればできる」という感覚が強まります。小さなことでも成功体験となり、それを積み重ねることで自己効力感を高めることができます。


不適切な目標を繰り返し設定してしまうと、目標を達成することができない経験を繰り返してしまい、自己効力感を下げてしまいます。

大きな目標を掲げるべきではないという訳ではありませんが、大きな目標を逆算して適切な期間とそれに繋がるための段階的な目標を作ることが重要です。それによって大きな目標に向けて、成功体験を積み重ねていくことができます。より達成しやすい適切な目標を多く体験し、成功体験を作っていくのが効果的です。


② 代理体験


 代理体験とは、自分以外の人が目標を達成したり、成功していることを観察することです。直接に経験していない場合でも、うまくやっている人を観察することで、「自分もああすればうまくできそうだ」という感覚を持つことができます。


講演会で成功した人の話を聞いたり、ドキュメンタリー等で他の人の成功ストーリーを目の当たりにした時に『自分にもできる!』とモチベーションが上がった経験はないでしょうか。自分の成功体験だけではなく、他者の成功体験からも人は自己効力感を高めることが可能です。

特に自分の境遇や状況に近い人が成功を手にしている事例に触れることがより効果的だと言われています。


自分が叶えたいと思っている目標を達成している人の事例に触れる(その場を見たり・聞いたり、話を直接聞いたり、記事・本を読んだり、話を見聞きする)ことが大切です。また、どのようなことに挑戦して、どのような壁を乗り越えながら成長をしているのかを見せることもとても効果的です。


③ 言語的説得


 褒められたり、励まされたり、やり方を丁寧に説明してもらうことで、「やればできる」という感覚が生まれます。言語的説得とは、他者から『自分はできる』と応援してもらうことです。


自信がない方が使用する言葉に注目すると自分に対してももちろんですが、状況や環境に対してもネガティブな言葉多く見られます。『私には絶対無理』、『才能がないからダメ』などと自分に言い聞かせ続けてしまうと自己効力感を下げてしまいます。またネガティブな発言をする方が多い環境にい続けてしまうと自分の思考も同じようにネガティブになってしまう可能性があります。


友達や家族、会社の同僚、上司などから努力を重ねることで『自分なら達成する力がある』と励ましの言葉を受けることで自己効力感は高められます。

ただ、やみくもに励ましたり、応援するのではなく成功体験のセクションでも話しましたが、適切な目標設定を行なった上で応援することでより説得力のある声かけに繋がります。


④ 生理的要因


 行動中に自分の内部に生じた生理的状態を意識することで、感覚に違いが生まれます。例えば、心拍数の増加を意識すれば不安やアガリの感情が生まれ、行動への自信が弱まりますが、心拍数に大きな変化が無ければ平常心を保っている自分を意識することができ、行動への自信につながります。

生理的要因とは、その人の身体的・心理的な状況が自己効力感に影響していることを示しています。ストレスが多い日々から体調を崩して、精神的にも気分が落ち込んでしまっている状況では自己効力感を高く維持するのは難しくなります。

自信を高めるためにはまずは身体的、心理的にも安定している状況を作ることが大切になります。


具体的な方法としては体の管理を行うこと。例えば適切な睡眠をとること、バランスの良い食事を取ること、適切な運動を続けることなどがあげられます。または精神的なバランスやストレスにも対応するためにマインドフルネスなどを日常に取り入れて自分の身体的、心理的状況をより深く理解した上で行動をすることも効果的です。


 この自信をつける4つの方法は、説明した番号の若いほど自己効果感に及ぼす影響は強いと考えられます。したがって、自信をつける、自己効力感を高める一番効果的な方法は、小さなことでもよいので「できた」「やれた」という成功体験を重ねることです。次いで、直接的には経験していなくても、成功者を観察することで、自分も上手くできそうだという代理体験の機会を積極的に取り入れる事です。

 

4.自己効力感


新しいことに挑戦する中で、『僕にはできる!』と思って取り組んでいる人と『どうせ僕にはできない』と取り組む人では結果が大きく変わってしまう可能性があります。

例えば、「僕にはできる」という思いを根底に持っている人は将来の自分に期待を持っているため、失敗しても「いつかは自分にもできる」という挑戦し続ける方向に思考を持っていける可能性があります。


自己効力感が高く認知されると、以下の様な効果が期待できます。


①社会的状況の中での克服努力が大きい。                    

②積極的に努力を払おうとする。                        

③積極的に課題に取り組もうとする。                      

④最終的な成功を期待する度合いが大きい。                   

⑤葛藤状況でも長期的に耐えることができる。                  

⑥自己防衛的な行動が減少する。


などの行動特徴が認められます。自己効力感が高まれば、「挑戦してみよう」という気持ちが生まれやすくなります。ビジネスの中では新しい仕事や前例のない仕事、成功率の低いプロジェクトを任されることがあります。その際に積極的に取り組むには、「自分ならできるはず」という自己効力感は不可欠です。また、自己効力感が高いと、少し失敗したとしても「きっと次はできるはず」と立ち直るのが早いです。失敗を引きずらず、学びを見出して次に生かそうとする力も高いので、それが次の行動につながり、成果へと繋がります。


一方で『どうせ僕にはできない』と考えている人は失敗した際に自分の仮説が証明されていると考え、『やっぱり自分にはできなかった』と元々持っていたダメな自分という思い込みがさらに強まってしまう可能性があります。


その状況が続いてしまうと『どうせ僕にはできない』という思い込みに更にとらわれてしまい、挑戦すること自体から遠ざかってしまいます。それが続いてしまうと自らの成長の機会も失ってしまいます。


おわりに


ビジネスにおけるやる気のメカニズム、自己効力感の要因やメリット、高める方法を理解し、仕事でもプライベ―トでも豊かな生活を送るきっかけになれば幸いです。



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